戦略的Webサイト制作におけるデザインの視点

デザインのみを作成するデザイン案件を請け負うことがあります。指示系統は外部スタッフからになり普段の制作フローとは少し違います。そして今回そのデザイン案件を担当したデザイナーが困っていました。先方の担当ディレクターが参考にあげてくるサイトはデザイン性に乏しいものが多く、「どこを参考にすればいいのかわからない」とのことでした。

デザイナーにも必要な戦略的視点

確かに先方の担当ディレクターが参考に提示してきたデザインはデザイン性に乏しく、デザイナーが困るのは当然です。しかし、よくよく参考サイトを見てみると目的への一貫性があり情報の強弱もついていて、きちんと導線も整理された戦略性の高いデザインでした。

キービジュアルは素人くささがにじみでていましたが、伝えたいことや見せたいことはきっちり伝わってきました。 コンテンツの優先順位も小気味よく強弱が付けられていて自然と見せたい情報へのアクションが誘発されるようになっていました。

お世辞にも良いデザインとは言えないパンチの効いたデザインでしたが、広告はデザイナーがちょっと下品と感じるぐらいが丁度良いと言いますので、そう言うことなんだと思います。 この場合の求められていたデザインはビジュアルの美しさよりも、計算された情報の見せ方だったのでしょう。

とことんデザインにこだわった戦略的デザイン

デザイン性にとことんこだわった戦略的デザインも存在します。そのサイトデザインは僕が担当したのですが、不必要な要素を極限まで削ぎ落とし、マージンや文字のバランスにとことんこだわり、とてもシンプルなデザインに仕上がりました。何度も細部を調整し、苦労したぶん思い入れも強く、個人的にもすごく気に入ったデザインなのですが、反響のほうが心配でした。

コンバージョン数よりもコンバージョン率

コンセプトは万人に受ける必要はなく、サイトのデザインのよさがわかる感性の似通ったお客様に問い合わせて欲しいという シビレるようなコンセプトです。

感性があう人のほうがやはり成約につながりやすいとのことで、サイトのデザインである種ふるいにかけたようなものです。 そして嬉しいことにデザインリニューアルしてから早速Webからの問合せで成約につながったそうです。

表現力に制限が無くなってきたWebデザイン

そのデザインがWebサイトに与える影響は小さくはありませんので、いろんなケースに対応できるように戦略的な目線でデザインを分析できる眼力も今後はもっと必要になってくるでしょう。